【誰でもわかる不動産入門】


滞納された家賃はいつまで請求可能か

 どれだけ督促を繰り返しても、全く支払う意志のない悪質な家賃滞納者はいるものだ。家賃滞納については、刑事事件と同様に時効が定められており、5年間逃げ切ってしまえば、債権者の請求権は消滅する。したがって督促を行う側は限られた時間の中で効率的な回収業務を行わねばならない。そのためには「時効の消滅」を用いて、期間の延長を行うのが効果的だ。具体的なノウハウを見てみよう。

<未払の家賃・地代は5年で時効に>
一定期間すぎれば債務返済の義務なし

部長 さあて、いよいよ来週から夏休みだな。今年はどっか出掛けるのかい?
平社員 彼女が「冬のソナタ」に夢中なので一緒に韓国に旅行に行くんですよ。ちょうど夏のボーナスも出たばっかりですし。
部長 そうだ、ボーナスで思い出した。おい、今日からおれあてに女性からの電話や来客があったら「一カ月間長期出張で出社しません」と言っといてくれ。絶対に取り次ぐなよ。
平社員 部長、何かあったんですか?
部長 飲み屋のツケがだいぶたまってるんだ。ボーナスが出ると、いつも督促が激しくなるのさ。
平社員 どのくらいたまっているんですか?
部長 ざっと30万円ぐらいかな。でも、あと3カ月逃げきれれば時効だからな。
平社員 えっ!!飲み屋のツケにも時効があるのですか。
部長 もちろん。時効というと、殺人事件を起こしても15年逃げきれれば大丈夫、みたいな刑法犯罪ばかりがクローズアップされているけど、債権についても時効が設定されているのさ。
平社員 で、何年闇で時効になるんですか?
部長 飲み屋のツケの場合は1年間だな。
平社員 飲み屋の場合は、ってことは、債権の種類によって時効になるまでの期間は違うのですか?
部長 そう。債権の時効は原則的には10年間で、商行為によって生じた場合には5年となっている。
平社員 ということは個人的な金の貸し借りは10年で、商品の代金については5年、ということですか。
部長 そっだな。でも民法では「短期消滅時効」として5年、3年、2年、1年で時効となる債権についても規定している。

残債の存在について認めさせる必要あり
平社員 具体的にはどう決められているんですか。
部長 まず、1年のものとしては「ホテルの宿泊料」「バー・キャバレーの飲食費」「宅配便の代金」などがある。次に「塾や習いごとの謝礼金」「小売業・卸売業などの売掛代金」「理髪店・クリーニング店などの手間貨」などは2年だ。3年のものとしては「土木・建築工事の請負代金」などがある。最後に5年のものとしては「金融機関の貸付金」や「家貨・地代」などがある。
平社員 家賃は5年ですか。
部長 時効が長ければ長いほど、債務者が逃げ切ることは難しいから、債権者にとっては有利になる。アパートやマンションの家賃を滞納する人は多いみたいだけど他の債権に比べれば時効が長いぶん、回収は簡債権者にとっては有利になる。アパートやマンションの家賃を滞納する人は多いみたいだけど他の債権に比べれば時効が長いぶん、回収は簡単といえるかもね。
平社員 実は僕は学生時代にアジアに半年ほど放浪したことがあるのですが、そのときにうっかりしてアパートの管理会社に長期間留守にするという連絡を入れ忘れてしまったんです。帰国してみたら家賃支払い清求書や内容証明郵便がどっさり居いていて大変でした。家賃の場合は管理会社が督促をしっかり行うから、滞納されたまま時効になる心配はありませんね。
部長 ところがそうでもないんだな。
平社員 どうしてですか。
部長 債権を回収するには、まず債務者に債務の存在を認めさせなければならない。これを「時効の中断」という。
平社員 よく分からないんですが、どういうことですか。
部長 例えば2年間家賃を滞納しつづけた人がいるとする。もちろん、この間に管理会社は電話や書面で督促を行うのだが、もしこの間に全く入居者と連絡が取れなかったり、連絡が取れても相手が頑として滞納の事実を認めなかったりしたときには、債務の存在を認めたことにならない。この場合、どれだけ督促を行っても時効期間は中断されない。つまりその後3年間シラを切りつづけて5年間逃げ切ってしまった場合には入居者の勝ち、になるのさ。
平社員 つまり入居者が督促を無視してしまえば、それまで、というわけですね。
部長 そう。だから、債権者は債務者に債務を認めさせなければならない。債務を認めた時点で、それまでの期間の時効は中断され、新たに時効期間の計算がスタートすることになる。

たとえ一部だけでも払わせれば時効中断
平社員 さっきの例でいえば、2年経過した時点で入居者が滞納を認めれば、それまでの2年間は時効計算に入れずに帳消しになり、その時点から新たに5年の間債務が存在することになるのですね。でも、何をもって「債務を認めた」ということに
なるのですか。
部長 一番いいのは債務者から債務の残高確認書をもらうことけど、それが無理なら例え100円でも支払ってもらうことだ。また口答で「払います」という約束を取り付けるだけでもいいことがある。
平社員 内容証明郵便も、先方がそれを受け取った、という証拠が残りますから債務を認めさせたことになりますね。
部長 いや、内容証明郵便は「郵便を受け取った」という証拠は残るが、それだけでは、郵便に記載されている内容を認めた、という証拠にはならない。つまり送るだけでは相手に債務を認めさせたことにはならないのさ。
平社員 では、どうすればいいのですか?
部長 内容証明郵便が届いた日から6か月以内に裁判手続きをすればいい。これで内容証明が届いた日より時効が中断することになる。
平社員 書類を送っただけではだめなのですね。
部長 そう。だから売掛金の回収を他者に任せている場合には「どのような督促を行っているのか」という点をしっかり確かめた方がいい。全く効果のないことを行っている可能性もあるからな。また時効については契約の当事者両方とも法人なのか、一方が法人なのか、などという点でも期間が異なってくるので素人を判断をせずに専門家に一度相談した方がいいだろうな。
平社員 部長、そう言えば、3カ月前に行った出張費の精算をまだ申請していなかったんですけど間に合いますか。
部長 給料・賞与支払いに関する債務の時効は2年、退職金は5年だ。でも出張費精算は各月末締めだからわからんぞ。経理部長の機嫌がいいことを祈るんだな。



<時効後も債権者は請求可能> 
 刑事事件の場合、一度【時効が成立すれば、犯人は一切罪に問われることはない。
 しかし債権の場合は仮に時効となっても、債権者は債務者に支払いを求めることが可能になっている。債務者は「時効を主張して支払いを拒否するか」「時効の権利を放棄して支払うか」を選択することができるのである。
 よく、新聞などには「若いころに金を借りて返さずにいた。それがずっと心に引っかかっていた」などといって数十年ぶりに金を返した人の話がとりあげられている。この例にもあるように時効成立後も債務者側の自発的な意思があれば、債権の回収を行うことが可能なのである。
 また、仮に債務者側が時効を知らずにおり、時効成立後に債務を返済した場合は、債務者が「あの債務は時効が成立していた。支払った分を返してほしい」と主張してくることがある。しかし、これについても、先に述ベたように「時効成立後も債権回収は可能」なことを考えれば、債務者側の主張は認められない、ということになるのである。

<権利は行使しなければ消滅する>
 正確には時効には「取得時効」と「消滅時効」のこ種塀がある。
 本文中で紹介した家賃やツケなどの売掛債権は、このうちの消滅時効にあたる。この消滅時効とは「一定期間権利を行使しないことによって、権利そのものが消滅してしまう」というものである。つまり、債権者が一定期間(家実の場合は5年)、清求などの健横着としての権利を行使しなければ、債権者としての権利そのものが消滅する、 という解釈になるのである。
 したがって本文中で触れた「時効の中断」とは、債権者としての権利を行使することで、これまで経過してきた時効期間の効力を失わせ、一から仕切り直しをする、ということになる。
 われわれはよく「時効が成文した」というが、これは債務者側から見た言葉で、債権者側からすれば「時効が消滅した」という表現が正しいことになるのである。

(全国賃貸住宅新聞2004.8.9より抜粋)



 今は消費者もなかなかのものです。法律をよく知る人も増えてきました。
 また、景気の悪い時代、それを悪用するケースも出てきているのではないかと思います。
 私共、仲介業者も管理物件については、しっかりとした家賃集金管理をするための努力をしており、お陰様で今のところ上記のような事故はありません。
 自主管理をされているオーナー様も特に毎月の家賃の管理をしっかりすることが大事です。少しでも入金が遅れている場合は、常にコンタクトをとり続けることが悪質なケースを発生させない基本だと思います。

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