京都に激震走る『更新料がなくなる日』


入居者側の主張認める判決下る
 ついに敷金だけでなく、礼金まで取れなくなる日が来た。先頃更新料の支払いを拒否して住み続けた入居者に対して家主が支払いを求めた訴訟で、更新料の支払い拒否を認める判決が下された。商慣習に変化の兆しが見え始める中、この判決が賃貸業界に一石を投じることになるのか。裁判の詳細と業者、弁護士の声を追った。


地裁は家主の請求を棄却
 5月18日、京都地裁は更新料の支払い拒否を認める判決を下し、家主側の請求を棄却した。水上敏裁判官は、「新に合意した上での契約更新でなければ更新料支払い約定は適用できない」とし、法定更新では更新料の支払いは適用されないとの判決を下した。
 従来、更新料は、賃貸人、賃借人共に支払いに合意した上で、契約書の特約に妥当な金額が記載されていれば、契約自体は有効とされていた。ではなぜ、今回の訴訟では支払い拒否が認められたのだろうか。
 最大の要因と考えられるのは、契約書の不備だ。今回のケースでは「契約更新時には更新料を支払う」という内容が記載されていた。つまり、合意更新のみを前提としていたことになる。
 「裁判では借地借家法に基づいて契約が続く法定更新とみなされました」と入居者の代理人を担当したM弁護士は話す。契約書上に「法定更新も含む」の一文がない場合は、更新料の支払い拒否の主張が認められる可能性は高いとK法律事務所(東京都新宿区)の弁護士は指摘する。
 「更新料支払いをめぐるトラブルでは、契約書の文言と、更新料自体の合理性がポイントになります。今回の場合、1年契約で2カ月分の更新料という設定も、非合理的とみなされたのかもしれません」

契約の自由が認められないのか
 地元京都の業者の反応も様々だ。
 「お互いに合意した上で契約していながら、法定更新とみなされ更新料の支払い拒否を認める結果が出たことは、甚だ遺憾に思います。契約自由の根本が認められていないのでは、と不安になります」
 京都を中心に約5000戸管理しているF社(京都府京都市)の同社長はこう話す。
 同社ではもともと契約書上に「合意更新、法定更新にかかわらず更新料は徴収する」という文言を記載している。今回のようなケースは避けることができているという。
 「それでも、契約時に内容をわかりやすく説明するよう、もう一度見直す必要になるでしょう」(同社長)
 今回の裁判を受けて、更新手続きに関する確認の徹底を社内に呼びかけたというのはCホーム(京都府京都市)
 「今回の件では、契約時から入居者が合意の契約内容に納得していなかった、と聞いています。当社では、更新を渋る入居者がいた場合は、家主に相談するなどして裁判に発展せぬよう心がけています」(同社総務部長)
 「この件に関するオーナーからの反応は特にありません。特別な対応も考えていません」
 こう語るのは、N管理室(京都府京都市)の総合管理部長。とはいえ、入居者有利の判決が出たことは見過ごすことはできない。
 「管理会社の立場としては、家主と入居者、どちらか一方の側につくことはできない。更新料の件に関しても、状況を見ながら慎重に対応していかなければなりません」
 管理会社の声は、今回の判例を受けてすぐに更新料がすぐ取れなくなることはない、という意見で一致していた。だが、慣習が急激に変化しつつある中では、現在の慣習が続くか分からない。注意して動向を見守る必要があるだろう。
訴訟の経緯
事件の被告となったのは、京都市上京区のマンションに入居する27歳の女性。2002年2月に1年間ごとに2カ月分の更新料を支払う契約を結んで入居した。だが、1年を過ぎた2003年2月、契約満了となって更新を迎えた際に、更新料と更新手続き料の支払いを拒んだ。それに対して賃貸人である家主が更新料と更新手数料など合計13万4000円の支払いを求めて女性を提訴。争いは法定へと持ち込まれた。
今回の判決は驚くに値しない 
 今回の判決では消費者契約法については触れられていなかったようですが、消費者契約法の下では合意更新、法定更新を問わず更新料は取れないものであると考えています。
 今回のケースでは、契約書上には「更新料が発生する」という旨の記載があったと聞いています。つまり、合意更新のみを前提とした契約だったわけです。ところが新に契約を交わしていなかったので、法定更新とみなされました。法定更新の場合、更新料の支払い拒否は認められることがあり、今回もそれにのっとった判決が下されました。
 家主側は控訴していますが、主張の根拠はあいまいです。特に、更新料の支払いは慣習だと主張しますが、慣習とは社会的に認められているものでなければなりません。根拠としては弱いのではないでしょうか。(松丸弁護士)
マメ知識:法定更新と合意更新 
 合意更新とは、賃貸人と賃借人が賃料等の契約内容を協議し、合意のもとに契約する方式。更新時には新に契約書を交わす。場合によっては賃料の見直しを行う。この時に更新料及び更新手数料を徴収する。
 一方、法定更新は、協議がなく、賃借人が更新料の支払いを拒否したとしても賃貸借契約は借地借家法に則って自動的に更新されるのだ。この場合、賃借人は更新料を支払わなくても入居し続けられるが、「期限の定めのない契約」になってしまう。賃借人はいつでも賃貸借契約の解除を申し入れることが出来ることになる。
裁判官はもっと勉強して欲しい 
 基本的に裁判官は、家主や不動産業者が悪で、入居者が善と考えています。その為、こうした裁判になると家主・業者側が不利になってしまうのです。
 裁判官には不動産業界について理解しようという姿勢が感じられません。もう少し勉強して欲しいと思います。
 今回の判決については、これが一つの判例となり、今後更新料が取れなくなるのではないか、という不安があるかもしれませんが、今のところその心配はないと思います。今回は、契約書に不備があったためです。基本的に更新するときは、合意更新なので、契約書には「法定更新・合意更新を問わず」という内容の文面が必要です。(Cホーム・社長)
 
(全国賃貸住宅新聞2004.6.28より抜粋)



 お互いに納得して契約したことを支払いの段階になって、「おかしい」とか「無知であったのでよく理解していなかった」というのは、いかがなものでしょう。
 「契約自由の原則」があり、かつ、後の争いを避けるために文書で約束を交わしたのに、「一切払いたくない」と主張し、裁判所まで「支払わなくてもよい」とお墨付きを与えてくれることは、果たして「消費者の保護」と言えるのでしょうか。限度を超えているような気もします。
 とはいえ、「礼金」「更新料」は昔からの慣習であり、その背景には戦後の住宅難やバブル時の住宅不足がありました。
 但し、今はその頃と事情が違い住宅が増え、更に持ち家比率が上がった最近では賃貸住宅が余っている状態です。住宅難の時代の慣習を現在でも取り入れようとするには、リフォームや設備の増強をして「礼金や更新料を払ってでも住みたい」と思わせる競争力が必要ではないでしょうか。
 もし、様々な理由でリフォーム等を出来ない場合は、他物件との差別化を図るために、「礼金ゼロ」「更新料ゼロ」を積極的に取り入れてみるのも満室経営のためにはよいのではないでしょうか。裁判所から強制されるのは面白くありませんが、自発的にするのでは気分も違うのではないでしょうか。

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