〜借家人の違反行為と家主の対応〜

問.違反行為とはどんなものか
 アパートの家主を10年近く続けています。
 その間、借家人と様々なトラブルがありましたが、裁判沙汰にまでなったことは一度もなく、話し合いで決着がついてきました。
 しかし、中には、こんなことは、果たして借家人の違反行為として、家主が責められる行為なのか?また、それが責められる行為だとしたら、家主としてどのような対応をとったらよいのか?
 など、はっきりした判断がつきかねるものも多々あります。
 そこで、借家人の行為のうち、どのような行為が、家主として文句のつけられる行為なのか、また、そのような行為に対し、家主としてどのように対応したらよいものかの点につき、この際具体的に教示してください。

家賃の滞納は義務不履行
 本問については、借家人対家主間の問題で、借家契約関係上の法的問題にしぼって、考えてみることにしましょう。

(一)借家契約で取り決めた借家人の義務違反
 今どきの借家契約では、借家人と家主が借家契約を取り交わし、「この点はこうしよう」「あの点はああしよう」と具体的に借家人や家主の義務を具体的に明記するのが普通です。
 例えば、「第○条 借家人は、第○条に定めた家賃を毎月20日迄に、翌月分を、家主の……の銀行口座に振り込んで支払うものとする」といった形で取り決めをします。
 したがって、このような取り決めをした以上、借家人は当然、取り決めたとおりに家賃も支払わねばなりません。
 もし借家人が取り決めに従わず、家賃の支払いを怠ったりすれば、借家人の義務不履行として、家主はその履行を催告し、これにも借家人が応じないときは、場合により、借家契約も解除して、借家人に借室よりの退去を要求することが出来ます。(民法五四一条)。
 以上の理屈は、家賃の取り決めに限られず、借家契約で取り決められた義務に借家人が違反した全ての場合に、原則として適用されます。

背信行為に限り契約解除できる
 もっとも、借家契約のような特殊な契約の場合は、借家人が単に決められた義務に違反したというだけで、契約解除を認めようとはせず、その義務不履行が家主に対する背信的なものであるときに限り、契約解除、立ち退きを要求することが出来ると解する考え方が有力です。
 さて、借家人に上記のような家賃不払いがあった場合、家主としては、書式Aのような催告書をまず借家人に送り、その支払いを催告します。
 書式Aのような催告を借家人に送りつけたが、それでも借家人がこれに応じない場合、家主は、書式Bのような通告をすることになります。

借家人が居座れば損害賠償請求も
 書式Bの通告書が、借家人に届けられると、家主とその借家人との借家契約は解除されます。
 したがって、借家人の以後の借室使用は不法占拠になりますから、借家人はその借室より退去して、これを家主に明け渡さなければなりません。
 それでも借家人がその借室に居座れば、家主は当然借家人の不法占拠により損害を受けますから、その損害の賠償も借家人に請求できます。
 そして、借家人が居座りを続けるなら、借家人を相手取り、立ち退きの裁判手続きに及ぶことになります。

借家の損傷には禁止を通告する
(二)借家契約書に明記のない違反行為
 イ.借家への損害行為
 借家人は、借家契約が終われば、借室を家主に返還しなければなりませんし、それまでは、借室を善良なる管理者の注意をもって使用保管しなければなりません。
 それなのに、借家人が借室を乱暴に使用したりして、これを損傷したりすれば、これは家主に対する違反行為(所有権の侵害)になります。
 したがって、借家人がかかる行為をしたときは、家主は直ちにそのような行為の禁止を通告し、それでも借家人が応じないときは、借家契約を解除して借家人を借室より退去させることが出来ます(民法五四一、五九四、六一六条)。
 かかる場合、家主が借家人に差し出す書面としては、まず書式Cのような警告書を発し、借家人が応じないときは契約解除の通告になるわけですが、これは書式Bを参照してください。

風紀を乱すのも違反行為のうち
 以下、同様の借家人の違反行為を列挙してみましょう。そしてこれに対する家主の対応も同様です。
 ロ.風紀を乱す行為。
 ハ.禁止されているペットを飼う。
 ニ.他の借家人に迷惑をおよぼす行為。
 ホ.共用部分の不当な使用。
(三)借室の無断転貸、無断譲渡ならびに無断改造、改作
 無断転貸、無断譲渡の禁止については、法律上の明記もあり(民法六一二条)、無断改造、改作の禁止については、契約書に明記されているのが普通です。

(全国賃貸住宅新聞2003.2.24より抜粋)


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