法人需要を取り込めるサービスアパートメント特集


 企業の社員寮が減少の一途をたどる今、法人をターゲットにした家具、朝食付きのサービスアパートメントを利用した動きができている。法人需要を取り込んだこのサービスアパートメントの現状を追った。


1つの物件に複数の企業が
 「地方にあった支店が統廃合でなくなり、企業の方は、東京から単身赴任か出張で来られるケースが増えたのです。そこで社員寮のアウトソーシングとしてのニーズがあるのではないかと考えたのです」
 そう語るのは、法人向けサービスアパートメント2棟を展開するS商事(石川県小松市)の担当者だ。
 同社では、母体が建設会社のため法人向け物件の開発を手掛けているが、これらは、食堂までついており、まさに社員寮。通常の家具付き物件が家具や生活用具一式を揃えているだけなのと一線を画している。
 同物件「ドミトリー金沢ステーション」は、鉄骨造り9階建て全97戸。ミニキッチン、電話、デスク、TV、ベッドといった設備がついている。20u前後の1Rタイプと2〜3人で住む40u前後のタイプがある。
 中でも特徴的なのは、部屋のほとんどに風呂を付けていないこと。
 「好みもあるので2階の部屋には付けていますが、それ以外の部屋には会えて設けませんでした。皆さんには24時間開いている9階の共同浴場で汗を流してもらっています」
 9階部分の共同浴場は約20u。正面の壁がガラス張りになっており、物件のある金沢の街が一望できる。内部にはサウナも取り付けられており、これも24時間使用できる。
 「違う会社の単身赴任の方ばかり集まっていますので、普通のマンション住まいでは交流を深める機会がないでしょう。そこで、朝食、風呂を一緒にしてもらうことで、コミュニケーションを図ってもらえればと考えたのです」
 ハード面だけではなくソフト面での居心地の良さは長期入居につながる。実際、同物件の入居者のうち多くが3年以上住んでいるという。
 「単身赴任の方の家族が来てもよいように、女性風呂や、寝泊まりする寝具などもお貸ししています。家族にとってはどのような物件に住んでいるかは大きな問題ですから家族へのサービスを忘れないようにしないといけません」
 これまで、社員寮は企業が運営するものだったが、これをアウトソーシングで請け負い、複数企業の社員寮を1つの物件で運営しているのだ。

高所得者の単身層狙う
 より、高所得者層にターゲットをしぼっている企業もある。
 M興産(愛知県名古屋市)では、賃料を100万円クラスの単身者用物件などを270戸展開している。
 「顧客は大学教授や、単身赴任の企業役員の方などが多いですね。法人客は約8割です」(担当者)
 同社の所有する物件各戸に家具、家電などが設置されている他、コインランドリーやクリーニングサービスまでついているものもあるという。
 「40u前後の部屋が多く、FAXやビジネス利用に役立つ家電を取り付けています」
 中には1棟丸ごと借り上げている企業もあるそうだ。
 「この不況下でなぜと思われるかもしれませんが、名古屋にこういった高級物件が少なく、トヨタといった大企業があるため、ニッチな需要があるのです」
 入居率は常に90%後半をキープしているのだそうだ。
 同物件には、応接サロンや各部屋への朝食サービスまでついており、ホテル感覚でいながら自分の部屋がもてるのが売り。リピーターも多いのだとか。
 賃金は家賃が高額のため、家賃の6割となっている。この半額を定額精算している。
 「定額の方がトラブルになることは少ないですし、わざわざ立ち会いの時間を設けなくて住みます。合理的なシステムであることも法人に指示される理由かもしれません」

外資系企業に特化して成功
 法人顧客が相手でも外国人に特化している企業もある。T社(東京都文京区)では、外資系企業や、外国と取引の多い企業向けの高級法人向け物件を展開している。
 同社の展開する「エリートイン」には、米国製のドラム式洗濯機や家具などが取り付けられている。入居者のほとんどが外国人で入居率は70〜90%前後だという。
 「保証金は3カ月分いただいていますがこれは設備に損害を与えたときのためのものです。通常に使用してもらえれば返却します」
 同社の物件にはメイドサービスがついており、定期的に室内を清掃するため、汚れが付きにくく、原状回復でトラブルになることはほとんどないという。
 「サービスアパートメントの場合は、メイドサービスが家賃に入っていますので、家主側としてもメリットは大きいですね」
 つまり、敷金トラブルでもめることの多いクリーニング代は初めから入居者負担となっているというわけだ。
 また同社では、外国人の法人顧客のリピート率を高めるため、付近のショップの地図を作ったり、地元の祭りに入居者を参加させるプログラムを組んだりといったサービスも行っている。
 「最近は、都心に大手企業の高級高層マンションが建っていますが、そうした物件にはないサービスで差別化を図っています」
 入居法人の8割以上がリピーターなのだそうだ。

データ分析の必要な時代に
 では法人顧客を獲得するにはどうしたらよいのだろうか。S社の担当者はこう語る。
 「当社では、外資系企業における家賃負担額やニーズを調べ、そこからニーズの高低を判断しています。」
 同社では外資系企業を中心としたサービスアパートメントを展開しているが、外資系企業の場合、単身赴任者に対する住宅補助は、年で区切られていることもある。それによって需要を分析するのだという。
 社員寮が減少し、アウトソーシングする時代になったからこそ、法人向け物件には大きなチャンスといえるかもしれない。

サービスアパートメントとは

 サービスアパートメントとは、文字通りのサービス付きの物件のこと、
家具や住宅設備、TVなどの家電が予め取り付けられている上に、
食事やシーツ交換などのソフトの部分のサービスが付く。ホテルに近い
賃貸住宅といえる。
 マンスリーから通常の賃貸借契約まで、形態は様々だ。


(全国賃貸住宅新聞2002.12.9より抜粋)



 当社でもマンスリーマンションを手掛けておりますが、全国から1カ月以上の長期出張の方が訪れ、利用されております。
 現在はサービスアパートメントやマンスリーマンション等、便利さを主張した物件が求められる傾向にあります。企業も経費削減のため、必要なものを必要な分だけ買いたい。なるべく無駄をなくしたいという気持ちが、そういった需要を創り出したのでしょう。
 今後も、経済の情勢により新しい価値観・需要が生まれてくると思いますが、そういった変化に柔軟に対応していくことが勝ち残っていくことにつながっていくのではないでしょうか。
 これからも、当社よりアパート・マンションのリフォーム等についても、新しいものをどんどん提案させていただきたいと思っております。


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