リフォームで復活!!

「立ち直り物件」特集



 築年数を経た物件はどうしても入居率が低下してしまう。そこでリフォームの検討となる。しかし、果たしてどれだけの費用対効果を見込めるものだろうか。今回の事例の中には、和室を洋室にしたり、設備を取り替えたりといった簡単なものからビルの用途変更、装改築までさまざまだ。事例を参考にしてリフォームの検討に役立てて欲しい。


メンテナンスのコスト減を狙う
 和室をフローリングにすることで賃料を5000円アップさせたという物件が「伊藤荘」(東京都世田谷区)だ。東急田園都市線駒澤大学駅から徒歩10分というロケーションのこの物件、木造2階建て、築年数が40年、おまけにトイレ共同、風呂なしということもあって賃料は2万8000円となっていた。
 「設備面は手の入れようがありませんでした。そこで畳をフローリング変更することで状態の改善を図りました。畳の交換にかかる費用5万円をなくす効果も狙ったのです」(S社担当)
 空室となった平成12年にリフォーム。2年前、募集をかける際にそれまでの賃料に5000円を乗せた3万3000円という家賃設定にしたが募集して2週間で入居者が決まったという。
 「現在、4戸のうち入居率は75%です。この物件の場合、オーナーがすでに高齢のため。積極的に建て替え、リフォームをする意思が無く、2カ月にわたって空室になっていたこの部屋を試しにリフォームしたのです。」

女性にモテる物件へ変身
 140万円のリフォームコストをかけたことで月の賃料を2万1000円アップさせ、それまで寄りつかなかった女性入居者も獲得できるようになった、というのが「清高荘」(東京都世田谷区)だ。
 この物件は木造2階建て、築年数は30年たっていた。部屋は17.3平米の1Kタイプが4戸で、今回リフォームしたのも1Kタイプだ。
 東急大井町線尾山台駅から徒歩10分、さらに近くに武蔵工業大学があることから男子学生から支持を集める物件だった。ところが、この不況により、親元から通う学生が増えるなどニーズが減少し、4戸のうち1戸が最大で6カ月空室になっていた。
 「状況の変化により、物件の商品価値が大幅に減少していました。それを取り戻すにはリフォームしかありませんでした。」とH社(東京都世田谷区)の同社長はいう。
 こうして平成10年に部屋の改修を行った。まず水回りではシャワールームを設け、キッチンとトイレも新品に交換。和室をフローリングに変更し窓枠を木製からサッシにした。
 リフォーム中に募集をする際に賃料をそれまでの4万5000円から2万1000円増加の6万6000円にした。それでも募集開始後すぐに入居者が決定したという。
 「最近の女性はシャワールームさえ使用できればいいのか、女性もこの物件を希望するようになりました」(同氏)

裏目に出た入居サービス
 ペットにじゅうりんされて土足であがるしかなかった状態を40万円かけて回復させて、それまで通りの賃料で経営を継続しているというのが「中村荘」(神奈川県横浜市)だ。
 問題の部屋は1階の和室2DK25.72平米。小さな庭と物置がついていた。平成8年当時の入居者は高齢の単身者でオーナーはペットを飼うことをOKしていた。
 「これが間違いの始まりでした」というのはこの物件の仲介を行ったY社(神奈川県横浜市)の担当者だ。
 ペット可ということで近所のノラ猫やノラ犬にえさを与えて更に中に入れてしまっていた。入居者は最終的に強制退去として片は付けたのだが…。
 「退去した部屋は合計10匹以上の犬猫が残っていたそうです。柱には猫のツメのとぎ跡が残り、床は糞尿で荒れ果てているという有様でした。お金をかけたところで入居者はいるのだろうか、と思いましたね」(同氏)
 しかし、40万円をかけて柱を修繕し、和室1部屋とキッチンの床をクッションフロアに変更。残った和室を畳を替えてキッチンは新品を購入。室内に洗濯機置き場を設け、戸の立て付けや浴室の塗装なども直した。
 こうして賃料は元通りのまま、4週間後には新たな入居者を獲得できたのである。

こんなご時世に強気の賃料設定
 築38年の物件の賃料を退去を利用して更に上昇させたケースがある。鉄筋コンクリート造5階建ての物件「第1愛和ビル」がこれだ。
 この物件は東急世田谷線若林駅から徒歩2分のところにあり、もともと長期にわたって住民が住み続けるケースが多かったという。
 この物件を管理しているR社(東京都世田谷区)の担当者は次のように語る。
 「好立地に支えられて1階のテナントはもちろん2階から5階にかけての24戸ある賃貸住宅の入居期間は平均でも25年はいってましたね」
 とはいえ、そこは築38年という年月を経た物件。平成9年に退去者が出た際にあまりに老朽化が目立つため、リフォームすることにしたのだ。費用を1部屋につき200万円ずつかけて5つの部屋を和室から、人気のフローリングを用いて洋室へと変更。募集をかけたときに賃料をこれまでの10万5000円から7000円増しの11万2000円としたものの、募集開始後4週間で入居が決まってしまった。
 「立地条件がもともと良好であったのに加えて流行のフローリングを入れることで築年数を感じさせない人気物件となっています」(同氏)

洋室+エアコンでようやく集客に成功
 半年間空室となっていた物件に、賃料を1万8000円アップさせた上で2カ月という期間で入居者を呼ぶことができたというのが「コスギ荘」だ。
 東急東横線綱島駅から徒歩5分というこの物件、木造2階建てで築20年、和室風呂なしとなっていた。賃料は4万円となっていたにもかかわらず、入居者はなかなか決まらず、外国人入居者が時たま入る程度だったという。空室になると半年はそのままという状態に平成13年、この物件を扱うT社(神奈川県川崎市)はオーナーに対してリフォームを提案した。
 「かかるコストは100万円程でした。しかし、リフォームに後に賃料を上げられることを考えれると回収にかかる期間は2年間程という計算でした」(担当者)
 そこでこの物件にバスとエアコンを導入し、和室はフローリングに替えて、クロスを張り替えた。コストは100万円かかった。賃料は1万8000円アップの5万8000円として募集を開始したところ2カ月たたずに入居者が決まったという。

テナントが決まらない
 1年以上借り手の決まらないテナント物件に見切りを付けて、住宅用に用途変更したところすぐに満室にできたというのが「広川ビル」(神奈川県横浜市)だ。
 このビルは東急東横線東白楽駅から徒歩4分という立地にあった。しかし、2階から4階までの賃料8万円30平米弱というテナント物件3つは客付けに苦戦。その空室期間は1年を超えていた。
 そこで平成12年、オーナーは用途変更に踏み切った。各階1戸という間取りでPタイルだった床はフローリングにバス、トイレ、収納を備えた3つのワンルームへとリフォームした。かかったコストは合計で約600万円。
 この結果、21.63平米の2階は6万5000円、20.71平米の3階は6万4000円、26.37平米の4階を7万1000円としたところ募集開始後4週間で満室となった。
 このリフォームを企画したY社(神奈川県横浜市)の同店長は「1フロアに1世帯という構成が気に入る理由のようです。設備としてエアコン、浴室乾燥機を付けたことも効果的でした」と語る。

建築工法を計算にいれて
 建て替えまでいかなくとも、フルリフォームをかけることで物件を新たに企画しなおせる。これにより2,3戸しか入居者がいなかった物件が入居募集をせずに満室になったというのが「エスポワール2」だ。
 鉄骨2階建て、2DK6戸というこの物件の主な入居者は夫婦だったという。しかし、東急東横線綱島駅から徒歩5分という立地にもかかわらず最近では老朽化のために最大で6戸、長いものでは、2、3年空室が続いていた。
 そこで今年5月に鉄骨部分を残して内外装ともにフルリフォームした。A社(神奈川県横浜市)の担当者は次のように語る。
 「建て直すことも考えましたが、鉄骨を生かしてリフォームしたほうがコストの面でもいいと考えました」
 このとき、部屋のタイプを2DKから1LDKに変更した。これにより賃料を7万円から9万円へと3割アップさせたが、リフォーム現場に出してあった看板を見て入居希望者が詰めかけ、結局募集をせずに入居者が決まったという。また、広い部屋を探す単身者も入った。
 今回取り上げた物件は築年数が経っているものが多かった。しかし、リフォームをするだけで空室の解消になったばかりか賃料の上昇までできたのだ。ニーズを抑えることが重要だといえよう。

(全国賃貸住宅新聞2002.6.17より抜粋)
 前例のご紹介の通り、築年数を経た物件は新築に比べやはりメンテ部分が気になります。外観から飛び込んでくるお客様も少なくありません。
 すでに和室から洋室に変更して頂いている物件、エアコンの設置や外壁の塗装など施工してくださるオーナーも増えてきました。
 現在、入居者入れ替えの際のリフォームもお客様への費用負担が難しく、オーナーへ負担して頂くことが多くなった今、もう一歩足を踏み込んだリフォームを手掛けるのも一つのリフォーム術ではないでしょうか。
 今後、大きなリフォーム等、間取り変更も提案していきたいと思います。
 入居者のニーズに応えるとともにオーナーのアパート経営に役立てる様、当社も頑張ります。
 その節はよろしくお願い申し上げます。


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