こんな物件が危ない!
セキュリティ再考察


ピッキング被害4年間で100倍に
 今年3月に国土交通省住宅局から「防犯に配慮した共同住宅に係わる設計指針」が出された。また警察庁からは「共同住宅に係わる防犯上の留意事項」も出された。今回、この2つの指針が策定された背景にはマンションでの犯罪発生件数が大幅に増加している事が大きな理由となっている。侵入盗で見ると平成10年の1万3534件が12年には3万3308件に増加している。つまりたった2年で実に2倍以上になっているのだ。では、犯罪被害に遭わない共同住宅をつくるにはどうしたらいいのか。検討してみた。

検挙できるのは4分の1以下
 物件における犯罪被害は実際どのくらい増えているのだろうか。警察庁によると、侵入盗の被害件数は平成10年には4万1689件だったものが、平成12年には6万8170件へ164%も伸びている。
 一方、刑法犯の検挙率はとみると同期間で38%から23.6%にまで落ち込んでしまった。被害にあっても検挙できるのはたった4分の1以下、半分以上は犯人は見つからないというのが現実のようだ。
 「侵入盗の発生件数は今も増加中です。それに歯止めをかけるには物件事態、入りにくいような物件づくりをして、侵入盗が避ける物件にする事が必要です」(警察庁生活安全規格課岩間警視)。では具体例を見ていこう。

同じ手口で4件の被害に
<事例1>
 まず盗入経路で多いのが玄関だ。実際に管理用物件が被害にあったO社(埼玉県さいたま市)に聞いた。
 「昨年、当社の管理物件4件が立て続けにピッキングに遭いました。しかも皆同じ手口だったのです」(同専務)
 それは次のようなものだ。玄関のディスクシリンダー式のドアを針金のようなもので操作して開け、中へ侵入する。そのとき、ちょうつがいのところに強力な接着剤を付けて閉める。こうすればもし入居者が帰ってきたとしても鍵で開ける事が出来ない為発見が遅れ、その間に時間稼ぎが出来るというものだ。被害にあったのはいずれも建物が密集している地域の大通りからは見えない物件。中の1件は3階建て全12戸になっているもので、団地のように1つの階段に2戸が振り分け式に配されたタイプだった。
 「敷地の入口から玄関が見えない上、振り分け式なので向かいが留守なら完全に誰にも見られずにすむために、狙われてしまったのでしょう」(同氏)
 このように玄関部分に人目が届きにくい場合は特にピッキングの被害に遭いやすい。有効な対策としてはカギの交換だ。ピッキングに強いカギ(CP−C錠)などを付けていくことが必要。

植裁を乗り越えて窓ガラスを破壊
 侵入方式のうち6割を占めるのが窓からだ。
<事例2>
 半年前、埼玉県さいたま市の1K全6戸のアパートに泥棒が入った。
 物件は住宅地の私道を30m奥に入ったところにあり、昼間の人通りはほとんどない。裏手は崖下になっており、背後からはほとんど見えないという。被害にあったのは賃料約5万円の1階の部屋で入居者は20代の女性。その部屋の窓の前には植え込みがあって完全に死角になっていた。侵入者は植え込みの陰でガラスを割って入ったと考えられるという。
 結局、被害は2〜3万円ですんだが、その後オーナーは植え込みを全て取り払い、かわりに2mの高さの金網を設置。70万円かけて50uの敷地の全周に張り巡らせた。
 このケースでのポイントは2点。ひとつは視界の確保だ。
 「警視庁が発表した侵入盗被疑者へのアンケート結果によると、63%が犯行を諦める理由として”じろじろ見られた、声をかけられた”をあげています」(警視庁岩間警視)
 つまり人目に付きやすい環境にすればいいということになる。特に中廊下の物件の場合、玄関は人が出入りすればすぐに分かる一方、窓側は視界が届かない場合も多い。そのような場合の対策としては防犯カメラの設置や死角をつくる障害物の排除が必要だ。
 また、ストーカー被害も広がっている。

エレベーター内も安全ではない
<事例3>
 東京都豊島区にある7階建てのマンションでは今年、強制わいせつ事件が発生した。被害者は女性入居者だ。この物件を管理するA社(東京都豊島区)によると、入居者は夜、駅から帰宅する途中で男が追ってくることに気付き、走って逃げた。物件までたどり着いたところで普通は諦めるのだろうが、共用玄関を入っても追ってきたという。エレベーターに乗ったところで追いつかれ、エレベーター内で強制わいせつ被害に遭ってしまった。事件後、警察ざたになったことから、オーナーはすぐにエレベーター内に防犯カメラを設置したという。
 このような共用部分での犯罪対策について、国土交通省に聞いた。
 「まずメールボックスやエレベーターが死角にならないようにエントランスから見通しのよい部分につくることが大切です」(住宅局総合整備課課長補佐)
 10m離れたところから人の顔がはっきり見える明るさとして建物内では50ルクスは確保して欲しいという。
 また推奨事項としてエレベーターについてはガラス張りにすることと防犯カメラの設置についても早急に講じるべきものとしてあげている。

行政も指導に積極的に参加
 国土交通省に見られるように、行政も動き出している。東京都豊島区は市民からの要望をきっかけとして、「豊島区生活安全条例」を平成12年11月に制定した。物件を建築する事業主に対し犯罪に強い物件づくりの指導をしていくことで、安全な物件提供を促進したい考えだ。これまで20件の指導実績があり、今後とも増やしていきたいという。
 また、市場でもピッキング対策の重要性が認識されてきた。東急ハンズなどのDIY店ではアラームや窓用フィルムの売上も大幅増となっている。
 いま一度、所有物件のセキュリティーを見直す必要があるようだ。
(全国賃貸住宅新聞より抜粋)



 現在、当社窓口に来店されるお客様の大半が「鍵はピッキング対応のものですか?」と聞かれます。
 新しく鍵交換しても、更に追加したい。または自分で購入した鍵に変えたい等、入居者がピッキングや防犯面に対しとても敏感になっているようです。
 以前よりセキュリティーに関しご紹介して参りましたが、上記事例のように、4年間で100倍にもなるピッキング被害が目の前で起こっています。以前に比べ鍵交換をする物件が増えてきました。お客様によってはそれ以上を求める方もいらっしゃいます。
 防犯カメラを設置するには費用がかかりますが、共用部分やフロアー、駐車場の照明を増やすことで安心感を与える等、一工夫してみるのも防犯対策につながるのではないでしょうか。
 これがもし身内ならば?ご入居者に安心してお住まいいただけるよう、今一度見直す必要があるようです。


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