お気軽住み替え!お手軽住み替え!
コンビニ化する賃貸市場のこれからを探る

 最近の賃貸市場では様々なサービスで集客を図る業者が出てきた。そこで今号では、礼金・敷金など一時金のシステムに工夫を加えたり、付帯サービスや、あるいは短期貸しなどで新しいサービスを行っている業者を取り上げてみた。


ケース1・入居時は賃料の1カ月分のみ
(但し、12〜13%程度上乗せし、2年程度で礼・敷金分を回収する考え方)

 今年1月から一般仲介物件、管理物件を対象に、仲介手数料ゼロ、敷金ゼロ、礼金ゼロで客付をしています。入居時にかかる費用負担が大きいことが成約数が上がりにくい原因になっていると考えて始めた新しい契約方法です。減った分の収入は、均等割にして月額賃料に上乗せします。収益は変わりませんが成約率は抜群に良くなります。昨年12月にまずサブリース物件50戸を対象に始めたときは半年以上空いていた部屋が1カ月で全て成約しました。
 入居者が求めるニーズにうまくこたえたことが好業績につながったと思います。
 「通常部屋を借りる際には仲介手数料として賃料1カ月分の他に敷金、礼金を支払わなければなりません。物件によっては賃料の半年分に相当する一時金を支払う必要があり、これが入居者の負担となっていました。そこでこれらを全部なしにして借りやすいようにしたのです」
(福岡県福岡市・M不動産社長)
 この方式であれば入居の際に必要なのは前家賃の1カ月分だけで済む。住み替えが容易になり借りやすくなるというわけだ。
 減収分については、例えば4万円の賃料で礼金、敷金2カ月の物件の月額賃料を5000円だけ値上げする。すると賃料は4万5000円。1年間借りた場合の料金は値上げ額5000円分×12カ月で6万円増。2年間では5000円×24カ月で12万円プラスになりこれが減額分の補填源となるのだ。
 「入居時の負担が少ない分、当然引っ越しもしやすくなるため、客付けも好調です。一時金なしで貸すのは危ないようにも見えますが定期借家契約ですのでリスク回避も万全です」(同氏)

ケース2・入居時は賃料の2.15カ月分のみ
毎月家賃に会費として15%上乗せし、その他入居時1カ月分の入会費を徴収。
長期に住むと会費の還付がある。


 入居者にとって、仲介手数料はもちろん、敷金、礼金、前家賃などの一時金費用は大きな負担だ。これが原因で引っ越しがなかなかできないという声も聞かれるぐらいだ。
 そこで、入居時の費用負担額を家賃2.15カ月分にまで押さえたシステムを構築したのは、神奈川県湘南エリアを中心に約4000戸を管理しているU社(神奈川県平塚市)だ。
 「超・家賃人クラブ」と称するこのシステムは、昨年6月、同社が独自に開発した。敷金・礼金、手数料だけでなく退去時にかかる原状回復費用も無料とされているものだ。
 入居時に借主が負担するのは「超家賃人クラブ」への入会金が賃料1カ月分と月会費として家賃の15%プラス前家賃分だけ。例えば賃料8万円の物件であれば入居時にかかる費用は家賃の2.15カ月分にあたる合計17万2000円になる。
 会員資格の期限は2年間だが、長く住めば住むほどメリットが生まれるように、2年満期ごとに支払った会費の30%が還付される仕組みになっている。さらに、入居継続3年目からは月会費が50%OFF、5年目からは75%OFF、11年目からは無料になる。
 「賃貸住宅のメリットとは、状況に応じて気軽に住み替えができることですが、現在の一般的な商習慣では入居時にかかる費用は家賃の5〜6カ月分というのが一般的です。そうした状況を打破するべくこのシステムの構築に至りました」(同社・社長)
 昨年6月当社が開発した「超・家賃人クラブ」は再契約型定期借家権を利用した貸室システムです。
 今から30年ほど前、私が上京して初めて賃貸住宅に入居するときは家賃6カ月分もの費用を入居時に支払う必要がありました。賃貸住宅のメリットは、何よりも自分の状況に合わせて気軽に住み替えができることだと思います。一人暮らしから新婚生活へ、新婚から子供の成長に合わせてと、その変化ごとに多額の金額を必要としていたら、この市場の活性化につながりません。
 そこで、入居時の費用負担を軽減して賃貸住宅のメリットを生かすためにこのシステムを作りました。(同氏)

ケース3・入居時は前家賃と手数料のみ
やはり賃料を上乗せし、値上げ分をリスク負担とする

 礼金・敷金を減らす一方、月々の家賃を若干増額するという手法を取り入れているケースは他にもある。昨年夏から既にこれを実施し、成約率アップに成功しているのはT社(埼玉県朝霞市)だ。
 対象としたのは築後8〜9年たち、客付けが徐々に難しくなっていた管理物件2棟30戸のマンション。客付け力を高めるため新しい付加価値として何があるか考えた末の方策が今回のシステムだったという。この物件の場合2DKのファミリータイプで家賃は相場なみの8〜9万円。これらを5000円アップするかわりに敷金・礼金をゼロにした。
 情報誌に広告を掲載したところ閑散期にもかかわらず、問い合わせが相次ぎ、定数の倍以上の申し込みがあったという。
 礼金・敷金という入居時の負担を減らすことが成約率を高める決め手となったようだ。
 昨年の夏から管理物件のうち2棟30戸を対象に礼金ゼロ、敷金ゼロにして入居募集をしていますが、集客は驚くほど好調です。
 この物件は築8〜9年の2DKのマンションです。賃料は8〜9万円とほぼ周辺相場なみなのですが、築10年に近くなり少し客付け力が弱くなってきていました。
 そこでオーナーに提案をして、敷金、礼金をなしにして、そのかわりに賃料を5000円上げて広告を新規に掲載したところ問い合わせが殺到しました。募集数の倍以上の申し込みがありましたので半分はお断りするほどでした。
 応募が多かったので、結果的に入居審査を厳密にすることができました。トラブル予防としても有効だと思います。(同社・社長)
 同様に礼金・敷金ゼロの物件を800戸もそろえて特徴を出しているのがT住宅社(神奈川県相模原市)だ。約1000戸の管理物件のうち80%以上がすでにこの礼ゼロ・敷ゼロ物件で入居募集をしている。
 「仲介手数料がないのも、礼金がないのも入居者にとっては減額する点は同じことです。しかし心理的には礼金なしの方が魅力のようです」(同社・社長)
 オーナーに礼金を支払うという考え方が今の若い人には受け入れられにくいと考えて、オーナーには礼金の慣習をなくしてもらうよう働きかけているという。
 「入居者にとって、いかにお得感を出せるかとどうかが大切です。入居時のコスト削減は新しいサービスになっていくと思います」(同氏)
 当社では礼金ゼロ、敷金ゼロ物件を集客の目玉にしています。
 これまで管理戸数の約80%のオーナーに承諾を頂いて約800戸に適用してきました。礼金・敷金がないというのは入居者にとっては魅力的に映るようで成約率は他の物件に比べるといいです。
 仲介手数料の減額については今のところ考えていません。手数料よりも礼金。敷金を無料にした方がインパクトがあると考えているからです。いずれにしても入居時負担の軽減が新しいサービスになっていくのは確実だと思います。(同氏)
(全国賃貸住宅新聞より抜粋)



 ケース1,2,3を見ていると究極はマンスリーかホテルかというくらい鞄一つで動けるような手軽さを求めているのではないでしょうか。
 しかし、お手軽さの陰には原状回復や家賃滞納へのリスク部分を入居期間の長短によって左右される不安があります。
 短期で退室される方のリスクを定期借家の形でどの程度カバーできるのか、まだまだ主流ではありませんが、空室を埋めるための一つの方法ではあると思われます。
 将来への展望として、又、後日レポートしてみたいと思います。



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