アパート・マンションの「建築修繕費用」を考える
分譲マンション業界では30年以上の
長期修繕計画を元に積み立てるのが当たり前

 賃貸住宅経営者は将来のリフォームを見通して、修繕積み立てをすべきか。この質問に対しておそらく多くのオーナーは「できることなら積み立てておきたくない」と答えるだろう。では、毎月いくらぐらい積み立てればよいのだろうか。そんな疑問に答えるべく、リフォーム会社や建設会社など専門家達に、5年後、10年後に必ず必要となるリフォーム箇所とその金額を算出してもらった。


約4割の家主が修繕積み立てを実施
 住宅金融公庫の調査によると、首都圏のオーナーのうち約4割弱は修繕積立金を積み立てているという。
 全国的に空室率が上昇傾向にあり、尚かつ家賃相場も下降気味といった厳しい状況下で、4割もと感じるかも知れないが、この数字は決して高いものではない。
 分譲マンションの管理コンサルティングを行うS社(東京都中央区)社長は分譲マンション業界と比較してこう言う。
 「分譲マンションは管理組合の方で必ず30年以上の長期修繕計画を立て、それにあわせて修繕積み立てを行っています。賃貸の場合、入居者から積立金を徴収できない上、最近では敷金を入居者に返還するような判例も出てきますので、なかなかそこまで手が回らないと言うのが本音でしょう。しかし、必ず修繕は必要になります。10年、15年後に又借り入れを起こすよりは、少しでも自己資金を貯めておいた方が負担が軽くなるのではないでしょうか」
 では、毎年どれほど積み立てれば良いのだろうか。例えば、建築面積80坪、RC造6階建て、約50uの2LDKで全30戸の物件があるとする。一般的なサイズの賃貸物件をモデルに長期修繕計画を立てたとすると次のようになる。
 まず3年目に、赤水や配水管劣化の予防策としての配水管の清掃。これは1世帯あたり約4000円。この時点で約12万円。これぐらいの額であれば積み立てる必要もないだろう。
 続いて5年目には、屋上手すり、非常階段などの鉄部の塗り替えだ。コストは約250万円。ここまでに年間50万円の積み立てが必要になる。
 10年目になると屋上などの防水工事が必要となる。このコストは約450万円、5年目から積み立て直したとして年間90万円。
 築15年を超えると外壁のリニューアルを行うことになる。その費用はこれまでで最も高く1000万円以上。これまた5年間で積み立てようと思ったら年間200万円はくだらない。
 「これはあくまで大まかな目安です。賃貸住宅のオーナーさんは、これら全てのリニューアルを築後13〜15年目でいっぺんにするケースが多いと思いますが、それでも世帯あたり50万円近くかかります。30戸でも1500万円は必要となりますので、年間100万円は積み立てる必要があります」(D建設社長)
 そのうえ賃貸住宅の場合は居住部分のリニューアルも考慮しなければならず、前述の金額の2倍近くのコストは必要となってくる。
 借り入れの返済だけでそんな余裕はない。その上、現行の税制では、修繕積立金の計上は認めていない為、難しいと考えるオーナーも多い。そこで神奈川県不動産賃貸業協同組合のO税理士がすすめる保険とリースの活用を紹介する。
 まず保険だが、生命保険と損害保険の2種類ある。生保にも養老保険と定期保険の2つが考えられる。養老保険は10年後に2000万円程度の修繕が発生するという計画で契約する。メリットとしては計画的に資金が準備でき、毎年最大5万円の生命保険控除が受けられることだ。満期と修繕の時期を合わせることがポイントだ。
 一方、生保の場合は賃貸業を会社組織で行っている場合に有効だ。家族を役員とする会社を設立し、その役員に保険を掛ける。その保険料は全て経費に算入可能だ。こちらも修繕の時期と解約返戻を受領する時期を合わせる必要がある。
 リースについてだが、商品を取り付けてから費用化するため修繕積立金のような効果は期待できないが、設置してから均等に費用化できるという利点がある。が、商品として取り外しできるものに限られるため外壁塗装や防水工事にはむかない。
 このように対策はある。10年後莫大なリフォーム比が重くのしかかってくるよりは、現時点から長期修繕計画を立て、それにあわせた資産運用を考える必要があるのではないだろうか。

☆首都圏オーナー・アンケート調査結果☆
経営者のたった4割しか計画しない月々の修繕積立金は平均で19.4万円
 住宅金融公庫が首都圏のアパート経営者289人を対象にした長期修繕計画に関するアンケートの結果によると、計画を立てているオーナーは、47%にのぼった。その内訳は「共用部分と専用部分の両方」が27%、「共用部のみ」が16%、「専用部のみ」で4%となっている。この数字を見ても専用部分は「敷金だより」の傾向が浮き彫りとなっている。建物の管理形態別に見ると、オーナーが自主管理している物件の64%が「計画無し」と答えている。戸数別に見ても、10戸未満の物件の場合、「計画無し」が65%とこちらも高い。
 戸数が少なくオーナーが自主管理しているような物件の多くは長期修繕計画など立てていないというのが現状のようだ。
 計画を立てない理由としてもっとも多かったのが、「修繕が必要なほど建物が損耗していない」が46.4%、以下「入居者から要望がでた時に実施」19%、「修繕工事費の捻出が難しい」14%と続いていた。
 一方修繕積み立てを、実際行っているかどうかという問いに対しては、「積み立てている」が38.8%という結果となった。
 先程の「長期修繕計画有り」47%に比較して約10%減少している。「計画はあるが、積み立てはしていない」といったオーナーも中にはいるようだ。
 積立金額は、「5万円以内」が最も多く29%。続いて「5万円〜10万円以内」が25.8%と10万円以内が過半数を占めている。平均は19.4万円。
 同時に4899人の入居者にも修繕に関するアンケートを実施した。中でも特筆すべきは「実施して欲しい修繕工事のトップが畳や襖、床の張り替え」だったことだ。以下「浴室改修」「内装の張り替え」と、他は専用部分のリフォームを望む声が多いことが分かった。
 しかし前述の通り、専用部分の修繕計画を立てているオーナーは全体の30.7%と低い。家主と入居者のリフォームに対する大きなズレがあるといえよう。






(全国賃貸住宅新聞より抜粋)



 アパート経営という事業を行うことで、決して避けては通れない「修繕」。
 できれば計画的に行い、オーナーや入居者がきれいな建物を持っている(きれいな建物に住んでいる)と人にいつまでも自慢できるように維持していきたいものですね。



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