集合住宅における動物飼養モデル規程
(東京都衛生局)


■作成の経緯■(概要)
 「人と動物との共存」が、より身近なものとなってきた。動物とのふれあいは生命の尊さ、友愛や平和の心を気づかせるとともに、人々の生活に喜びと潤いを与える。最近では犬、猫などが人生の伴侶動物(コンパニオン・アニマル)として人の生活に精神的に支える不可欠の存在になっている事例もみられる。また、高齢化、核家族化するなかで、人と動物の絆(ヒューマン・アニマル・ボンド)も重要であるという考え方が都民に芽生えている。老人医療や心理療法において動物達が役立っており、動物を介した人の心の健康づくり(アニマル・セラピー)という、新しい評価もある。
 一方、動物の不適正な飼養の他に、近隣とのトラブルや苦情などの問題も多く発生している。都市で動物と人が共生していく上で、周辺環境が重要な課題である。飼い主は動物の本能や習性を正しく理解し、一定のルールに従って適正に飼養する必要がある。動物飼養について周辺住民の理解を得られるように努めることが大切である。
 集合住宅での動物の飼養管理については、一戸建ての住宅における飼養に比べ、より細心の注意が要求される。そして集合住宅に住む居住者の深い理解と協力が不可欠である。また、身体に障害のある人や高齢者等で動物(人の日常生活を助ける「サポート・ドック」など)の必要な人への理解と配慮も求められる。 平成4年7月、東京都知事の諮問機関である東京都動物保護管理審議会から「東京都における動物の適正飼養の推進策について」の答申があり、集合住宅における動物の適正飼養について、ルールづくりの必要性が提言された。また都内の一戸建て以外の集合住宅などに居住する世帯が64.4%に達し、今後も増加していくことが予想される。これらのことから都は、集合住宅における動物飼養に関して、モデル規程を作成した。

■基本的な考え方■(概要)
 集合住宅における動物飼養の可否は、飼養を希望する居住者、管理組合または貸主など関係者の合意が前提である。この合意に基づき動物の飼養が円滑に行われるよう、次の考え方で作成した。
(1)集合住宅において動物を飼養する際に、飼い主に求められる適正飼養についての基本的な事項を定めること。
(2)動物を飼養しない他の居住者等の立場を尊重し、動物飼養に関するトラブルの防止を図り、快適な居住環境の維持向上を目指すこと。
(3)人と動物との調和した、潤いある生活を実現すること。
(4)動物愛護精神を尊重し、動物の本能、習性等を理解するとともに、飼い主としての責任を自覚し、動物を終生、適正に飼養すること

■集合住宅における動物飼簑モデル規程■
【目的】
第1 この規程は、「○○集合住宅」の管理組合又は貸主(以下「管理組合等」という)と居住者との間における動物を飼うことについての合意を前提に、「○○集合住宅」において動物を飼うに当たって必要な事項を定めるとともに、動物の愛護についての理解を深めることを目的とする。

【飼い主の心構え】
第2 「○○集合住宅」において動物を飼う居住者(以下「飼い主」という)は、次のことを常に心掛けなけれぱならない。
(1)他の居住者の立場を尊重し、快適な生活環境の維持向上を図る。
(2)動物の本能、習性等を理解するとともに、飼い主としての責任を自覚し、動物を終生、適正に飼うこと。
(3)動物の保護及び管理に関する法律、東京都動物の保護及び管理に関する条例、狂犬病予防法等に規定する飼い主の義務を守ること。

【飼い主の守るべき享項】
第3 飼い主は、次に掲げる事項を守り、動物を適正に飼わなければならない。
(1)基本的な事項
ア  動物は、自已の居室又は管理組合等により指定された場所(以下、「指定された場所」という)で飼うこと。
イ  自已の居室又は指定された場所以外で、動物にえさや水を与えたり、排せつをさせないこと。
ウ  動物の異常な鳴き声やふん尿から発する悪臭によって、近隣に迷惑をかけないこと。
エ 動物は、常に清潔に保つとともに、疫病の予防、衛生害虫の発生防止等の健康管理を行うこと。
オ 犬、猫には、必要な「しつけ」を行うこと。
カ 犬、猫には、不妊去勢手術等の繁殖制限措置を行うよう努めること。
キ 動物による汚損、破損、傷害等が発生した場合は、その責任を負うとともに、誠意を持って解決を図ること。
ク 地震、火災等の非常災害時には、動物を保護するとともに、動物が他の居住者等に危害を及ぼさないよう留意すること。
ケ 動物が死亡した場合には、適切な取扱いを行うこと。
(2)他の居住者等への配慮する事項
ア 自已の居室又は指定された場所以外で、動物の毛や羽の手入れ、ケージの清掃等を行わないこと。
イ 動物の毛や羽の手入れ、ケージの清掃等を行う場合は、必ず窓を閉めるなどして毛や羽等の飛散を防止すること。
ウ 犬、猫が自已の居室又は指定された場所以外で万一排せつした場合は、ふん便を必ず持ちかえるとともに、衛生的な後始末を行うこと。
エ 犬、猫等を散歩させる時には、砂場や芝生等(具体的な場所は,各集合住宅で定める)の立入りを禁止された場所に入れないこと。
オ 廊下やエレベーター等では、動物は抱きかかえ、又はケージ等に入れ、移動すること。
カ エレベーターを利用する場合は、同乗者に迷惑のかからないよう配慮すること。

【飼い主の会】
第4 この集合住宅の飼い主は、管理組合等の指導の下に、「飼い主の会」を設ける。
2 「飼い主の会」は、飼い主全員及びその他の入会を希望する居住者で構成し、会則を定め、適正な運用を図る。
3 「飼い主の会」の役割は、次のとおりとする。
(1)会員相互の友好を深めるとともに、動物の正しい飼い方に関する知識を広めるように努めること。
(2)会員以外の居住者及び近隣住民にも、動物と暮らすことへの理解を深めてもらうよう努めること。
(3)住宅内の共有施設や住宅周辺の環境及び衛生の保持に努めること。
(4)動物を飼おうとする居住者の相談窓口となること。
(5)飼い主が自ら解決することが困難な間題が発じた場合には、その飼い主とともに適切な解決を図ること。
(6)この規定に違反した飼い主に対し、適切な飼い方等を指導すること。
(7)管理組合等に対し、会の組織及び運営状混にっいて適宜報告すること。

【居住者の理解】
第5 居住者は、動物の愛護につっいて理解し、人と動物が共生できる快適な生活環境づくりに協力するものとする。

【飼うことのできる動物の種類】
第6 居住者が飼うことができる動物の種類は、次のとおりとする。
(1)犬及び猫(大きさ及び種類は、各集合住宅で定める)
(2)小鳥(具体的な種類は、各管理組合で定める)
(3)その他の動物(具体的な種類は、各管理組合で定める)

【飼うことのできる動物の数】
第7 居住者が飼うことのできる動物の数(一世帯当たり)は、次のとおりとする。
  ただし、複数の種類の動物を飼う場合の数は、別に定めるものとする。(頭羽数は、各管理組合で定める)
(1)犬又は猫については、○頭以内(頭数は、各管理組合で定める)
(2)小鳥については、○羽以内(羽数は、各管理組合で定める)
(3)その他の動物については、○頭羽以内(頭羽数は、各管理組合で定める)

【居住者の行う手続き】
第8 居住者は、管理組合等に対して、次に掲げる手続きを行わなげれぱならない。
(1)動物を飼う場合は、あらかじめ許可を受ける(承認を受け、届出を行うなどを選択する)とともに、この規程を遵守する旨を誓約すること。
(2)犬を飼う場合は、(1)の手続きを経た後、速やかに狂犬病予防法第4条に規定する登録及び同法第5条に規定する予防注射を行った旨の証明を提示すること。
(3)動物を飼わなくなった場合は、その旨届け出ること。

【動物の標識】
第9 飼い主は、管理組合等が発行する標識を、他の居住者等が見やすい場所に掲
  示しておかなけれぱならない。

【盲導犬等に対する配慮】
第10 居住者が、盲導犬、聴導犬、介護(助)犬等の動物(以下「盲導犬等」という)を必要とする場合においては、管理組合等及びその他の居住者は、その動物の必要性に十分配慮するものとする。
2 盲導犬等については、次に掲げる項目の適用を除外する。
(1)第3(飼い主の守るべき事項)の(2)のオ
(2)第6(飼うことのできる動物の種類)

【飼い主に対する指導、禁止等】
第11 飼い主が、この規程に違反し、他の居住者及び近隣住民に迷惑や危害を与えた場合で、「飼い主の会」の指導にもかかわらず解決が図られないときは、管理組合等が、その飼い主を指導することができる。
2 管理組合が、度重なる指導を行ったにもかかわらず、間題が解決されない場合は管理組合等はその飼い主に対し、動物を飼うことを禁止することができる。
3 動物を飼うことを禁止された飼い主は、新たな飼い主を探すなど、速やかに措置をとらなければならない。

【管理組合等の業務の代行】
第12 「飼い主の会」は、管理組合等からの指示により、次に掲げる項目について管理組合等の業務を代行することができる。
(1)第8(居住者の行う手続き)
(2)第9(動物の標識)


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