集合住宅のピッキング被害

集合住宅のピッキング被害、昨年比2倍ペースで激増中

 今年に入り賃貸物件を狙った事件が急増している。下着泥棒から始まり、壁をよじ登りベランダから忍び込む金庫破り、明かり取りから扉を開ける空き巣などその手口は様々だ。特に目立っているのが針金を使ってドアをこじ開けるピッキングの被害だ。警視庁によると共同住宅においての侵入犯罪の46.4%がこの手法によるものだという。各管理会社、カギ交換やセンサーライトの取り付け、物件ごとの構造の弱さをカバーする設備を導入し防犯の強化に勤めている。今回はその取り組みを検討する。

住宅街に突如現れたスパイダーマン!?
 千葉市内を中心に500戸を管理するK社(千葉市)が管理する物件で今年6月、泥棒が壁をよじ登ってベランダから侵入するという事件が発生した。
 舞台は、JR総武線稲毛駅近くの5階建てビル3階で、繁華街も近く事務所として使用されていた部屋だ。外壁に使用されていたボンタイルの1センチに満たない凹凸を足場にしてロッククライミングの方法で3階部分まで登ってきたという。これにはさすがに管理人もオーナーも驚いた。
 入居者は夕食のため外出中。窓がきちんと施錠されていなかったのでガタガタと何度か揺らしたところ簡単にロックがはずれ、忍び込みに成功した。早速室内の物色を始め金庫に手を伸ばそうと思ったちょうどその時、戻ってきた入居者に発見され警察に通報、あえなく御用になったという。
 報告を受けた同社では早速ビルオーナーと相談。外壁全体を変えるには莫大な費用がかかるため、部外者が入りづらいように抑止の意味を込めて監視カメラを設置することにした。
 エントランスやエレベーターに置かれた3台のカメラは月々1万円のリースによるもので設置してからの2ヶ月間は不法侵入などの問題は起きていないという。

顔を見られても再び侵入!?
 こんな話もある。単身者向け物件を中心に5400戸の仲介、管理を手がけるF社(杉並区)が取り扱う物件で、同一犯が二度も同じ部屋に忍び込んだという。
 事件が発生したのは、今年5月、目黒区にある単身者向け木造アパートの一室だ。周辺の道路は車1台がやっと通れるほどの狭い路地で、住宅地といっても昼間でも人通りがほとんどない。そこに入居して間もない男性会社員宅がターゲットとなった。
 犯行時は真っ昼間。たまたま遊びに来ていた入居者の友人が一人で留守番をしていたときに、いきなりカギを開けて男が入ってきたのだ。
 鉢合わせになった友人も突如の出来事に驚いたが、犯人の方も誰もいないと思った部屋に人がいたので、そのまま何も取らず逃走した。ところが、一週間もしないうち、同じ泥棒がまたしても侵入、そのまま滞在した友人の顔を見るやいなや再び脱兎のごとく逃げ出した。
 もちろん警察にも通報したが、結局は捕まらずじまい。住民は気味が悪いと暫くして退去した。
 この事件をきっかけに同社はミワロック製のU9錠にドアのカギを交換した。今は別の入居者が住んでいるが、空き巣事件は起きていないという。

窓ガラスを割られてから二重ロックに
 杉並区の物件を中心に、1000戸を管理しているH社では、今年1月からカギをU9錠に全面的に取り替えることをオーナーに提案している。安全対策徹底の背景には、半年前におこった盗難事件があった。
 物件は杉並区の住宅街にあるアパートで犯行は昼間、窓ガラスを割り侵入したもの。入居者は単身者で昼間は留守がちだった。ここを犯人は事前に知っていたらしい。捜査は行われたものの目撃者がいないことからこの事件をきっかけに犯人を捕まえることはできなかったという。この事件をきっかけに窓枠は二重ロックを取り入れた。さらに、安全面を強化した方がよいと判断した同社では、狙われやすいカギを取り替えることから管理する物件全体の防犯性を高めることに着手した。
 同社では賃貸住宅についての情報をオーナー向けに郵送しているので、このツールを通して物件設備のセキュリティ面を訴えているという。

同一物件に泥棒が3回
 一昨年の6月、3回も続けて同じ物件に泥棒が入ったため防犯効果を高めたというのがY社(宮崎県)だ。
 被害にあったのは3階建ての総戸数10戸の物件で1階が駐車場、2,3階がアパートになっている。犯人は建物の裏手にまわり、1階駐車場にとめてあった車のボンネットから2,3階のベランダによじ登り、窓ガラスから侵入したという。
 裏手は道路に面しているが昼間は人通りが少ないために起きた事件だと見られる。
「カギのかかっているところだけでなく、空いている部屋両方に侵入していました。」カギのかかっている部屋はサッシ部分のガラスを切り、開錠する手口です。入居者に注意を呼びかけては見たものの、事件が連続したため設備の導入に踏み切りました」
 これをきっかけに友人宅に付けてあった物体の熱で反応し、照明のつくセンサーをオーナーに導入することをすすめた。費用にも限度があるため大がかりなものではなく、犯罪が急増しているなか抑止効果を重視して1台5000円ほどのライトを部屋と部屋の間に一つずつ設置した。工事は延長コードでコンセントに差し込むだけで完了。事件発生から1カ月以内に取り付けを終わらせた。以後2年ほど経つがぱったりと盗難事件は起こらなくなったという。
 「簡易センサーをつけただけですが、外からも見える位置にあるため、これが入りづらい印象を与えているのではないかと思います」
 ユーザーが物件に求める設備の一つに「防犯」という項目は必ず挙げられる。入居率を高めるためにも改めて物件のセキュリティ面を再考察したいものだ。

警視庁統計データ
平成7年から5年間で60倍に増加
 警視庁がまとめたデータによると、全国主要都市を中心に空き巣による窃盗犯罪件数が急増している事が分かった。侵入の手口を見てみるとガラス、ドア錠を破って中に入るケースと比べて2倍以上の46.4%が、近年急増するピッキングによるものとなっている。外国人窃盗団による犯行が横行しているものと見られ、首都圏を中心に被害件数が増加している。埼玉県に至っては昨年の4倍のペースで被害届が出されている状況だ。不況の波が深刻化し始めた平成7年と比較すると空き巣発生件数は60倍となっている。
 部屋の無締まりによる被害も全体の15.2%となっているため、入居者に日頃から注意を呼びかけることも必要なようだ。

表1主要都市の空き巣件数の推移 
平成10年 平成11年
全 国 87,393 99,174
東京都 12,198 16,259
大阪府 5,919 7,051
表2マンション等の侵入手段
ピッキング 46.4%
ガラス破り 21.2%
無締まり 15.2%
ドア錠破り 1.9%
その他 15.3%

共同住宅の侵入手段はピッキングが第1位に
 ここ数年ピッキングによる被害が急増しています。表1,2のように、今年に入り、半年間で昨年度を大幅に上回る被害件数が届けられました。
 ピッキングの犯行手口が多いのが、オートロックマンションの最上階から回っていく方法です。非常口から住人のフリをして侵入した犯人はまず、エレベーターに乗って、最上階へ向かいます。家賃が高額なので裕福な人が住んでいることが多いという理由で、効率的に盗難ができると考えているのでしょう。
 当然ピッキングしにくいカギの製作も急がれており、鍵業者やセキュリティー産業およそ100社を集めた東京セキュリティー促進協力会が発足しました。ここから防犯対策の情報を入手することも一つの手段ではないでしょうか。(警視庁生活安全総務課生活安全対策第二係長・江崎警部)
(全国賃貸住宅新聞より抜粋)



 日本は世界でもトップクラスに犯罪が少ない。それはなぜなのか。貧困層が存在しないこと、失業率が伝統的に低く維持されてきたことは一つの原因かもしれません。
 しかし、残念ながら昨今の不況とともに犯罪が増えつつあります。
 但し、泥棒も闇雲に空き巣に入っているというわけではありません。泥棒が狙いを付けるとき。@周囲の状況を確認(人通り等)。A家人の留守が確認できる状況にある。B人目につきにくい侵入口がある。C逃走経路の確保が容易。D玄関の錠前が旧式。等を下見し確認しているそうです。泥棒も捕まらないためにいといろと考えているということです。
 それならば、一人一人が自分の家を守るためには、泥棒がいやがる状況を作ることを考えなくてはなりません。
 上記の鍵U9は、ピッキング被害の増加とともにメーカーが「ピッキングが困難な錠」として作成・販売したもので、当社に言っていただければ簡単に錠を交換することができます。(それ以前に販売していた錠は現在は製造中止となっています。メーカー側もセキュリティ面が脆弱なものは販売しないというスタンスのようです。)
 知らない街に引っ越し、生活を始めるときに不安を感じない人はいないでしょう。そういう方たちに、セキュリティ面を考えているお部屋を提供し安心感を与えるということはオーナーや私たち仲介業者にとって不可欠なことなのではないでしょうか。



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