☆「地鎮祭」「上棟式」等は何の為に、どのようにして行われるのか、その時慌てなくてすむ為に事前にこれだけ知っていれば充分です☆

〜建築諸祭儀の概要・その4〜

神様が降りられる憑代(ヨリシロ)「立砂」(タテズナ)について
 
1.「立砂」(盛砂・斎砂(イミズナ))は何のために盛られるのか?
 前号でご紹介した「地鎮祭の式次第」にしたがって、今回は「地鎮行事」(通称「鍬入れの儀」)から解説していきます。地鎮祭のハイライトともいえる「苅始め(カリソメ)の儀」等の「地鎮行事」は、斎庭に盛られた「立砂」(盛砂)を中心に行われます。この地鎮祭に欠かせぬ円錐形の「立砂」はどういう由来に基づくのでしょうか?
 京都の名刹「上加茂神社」(加茂別雷(カモワケイカヅチ)神社)を訪れるとその答えが得られます。上加茂神社の「二ノ鳥居」を入ると、細殿の前に一体の「立砂」があります。上加茂神社の御神体山は神社の本殿北々西、約2qに聳える円錐形の秀峰「神山」(コウヤマ)(標高301メートル)で山頂には「降臨石」と称し、その昔、御祭神「加茂別雷神」が降臨せられた巨巖の磐座(イワクラ)があります。実は「立砂」はこの麗しい「神山」をかたどったもので、一種の神籬(ヒモロギ)(神さまが降臨される憑代)なのです。今でも鬼門や裏鬼門に砂を撒くのはこの立砂の信仰が起源といわれます。上加茂神社は御鎮座以来、広く庶民の信仰を集め、皇室の御崇敬は歴代にわたり、「行幸」は枚挙に暇なく、国家の重大事には奉幣、ご祈願がありました。かの有名な『加茂祭(葵斎)』は上・下加茂神社間で毎年5月15日に盛大に挙行されます。京都へ立ち寄る際には、是非奉拝されるとよいとおもいます。

2.地鎮祭の式次第とその進行(前号より続く)
(8)地鎮行事(鍬入れの儀)
 この儀式は正式には「苅始めの儀」、「穿初め(ウガチゾメ)の儀」および「鎮物埋納(シズメモノマイノウ)の儀」から成るのですが、最近は「穿初めの儀」(鍬入れの儀)のみに簡略化されている例が多いようです。司会者より「ただ今より地鎮の儀を執り行います」との声がかかり、斎主が祭壇の祭具案(台)から、まず「鎌」を取り上げたところで、司会者より「所役」が呼び出されます。通常、「鎌」の所役には設計監理事務所等の代表がなります。
 『○○株式会社◇◇社長殿』
 そこで所役は斎主より「鎌」を受け取ります。行事所役には予め白地の薄手の「手袋」が用意されており、その手袋を「四方祓」の辺りではめておくとよいでしょう。斎主から受け取るときは、左手を上、右手を下にして受け、軽く神職に会釈をした後、「立砂」の位置に進み、右手を上、左手を下に持ちかえます。そして左足を半歩引き、「鎌」を真向こうから手前へ草を刈るような仕草を三度繰り返します。この折り、「えい・えい・えい」との掛け声を掛けることも多いのです。「忌草」(イミクサ)を刈り、斎主に鎌を返すときには、左手を上、右手を下に持ちかえて斎主に渡します。
 続いて斎主が「鍬」(クワ)を取り上げた段階で、建築主である土地所有者等が所役となるので、その旨の紹介が司会者から行われ、基本的動作は「鎌」と同じ形式で執り行われます。最後の「鋤」(スキ)は施工業者が所役となり、同様な作法で執り行います。
(9)玉串奉奠
 この儀式は、建設敷地の永遠の安定と参列者の守護を祈念するため、玉串を奉って神に拝礼するものです。玉串は「榊」に御幣をつけたものが使われます。まず、斎主の玉串奉奠から始まります。続いて斎主が自席に戻り、玉串を取り上げた段階で、予め用意された順序にしたがい、司会者より玉串奉奠者の名前が呼び上げられます。代表者一名が玉串奉奠するときには、その関係者も自席で礼拝致します。玉串奉奠の所作は次のように行います。
 @右手が榊の根元を持つよう玉串を受ける。
 A神前の玉串案(台)の前に進み、軽く一礼する。
 B右手で榊の根元を手前に引き、
 C『の』の字なりに回しながら、
 D榊の根元を神前に向け、案(台)の上に捧げる。
 E次に二拝・二拍手・一拝し、三歩下がり、軽く一礼して後、自席に戻る。
(10)撒饌
 撒饌は、本来は神前に供えた神饌品を下げる儀式ですが、近時は簡略化され、神酒徳利の蓋を被せるだけの儀式となっております。
(11)昇神の儀
 昇神とは、神が神籬から帰る昇霊の儀式です。斎主が神前に進み、二拝のあと、勿(シャク)を構えた頃合いに、「ご起立願います」の声がかかり、斎主から昇神の詞に続いて、降神の儀と同様の警蹕(ケイヒツ)の声が発せられ、二拝に移ったところで、「ご着席願います」の指示が司会者より発せられます。
(12)神職退下・一同退下
 司会者は、昇神の儀が終り斎主が自席に戻り、一呼吸おいてから、神職の退出を促し、祭儀の終了を参列者に告げ、「直会」(ナオライ)または「祝宴」の案内を致します。
(13)直会
 直会場に参列者が着くと、直会の開会を司会者が告げます。「ただ今より直会を行います。皆様お手元の御神器で乾杯致します。ご起立願います」
 乾杯の音頭は神職に依頼する場合が多いようです。この場合は、挨拶に先立って乾杯から始めることが多いのです。「神主さまのご発生で神酒の乾杯をお願い致します」と告げられます。神職により乾杯が終わったところで神事はすべて完了し、引き続いて祝宴に移る旨が司会者から伝えられます。
 「直会」とは「なおりあい」のことで、祭儀を終えた各人がそれぞれの生活に「なおる」ための一つの儀式という説もありますが、「直会」が神の供物のおさがりを頂戴し、神に一歩でも近づこう、神と少しでも融合しようと願う厳粛な行事であることは事実です。
(14)祝宴
 祝宴に先立ち、建築主から挨拶があり、続いて来賓・設計者等の祝辞、施工業者の工事受注の謝辞を含めた祝辞等があり、参列者の長老か、重要な来賓により乾杯があり、祝宴へと移ります。頃合いを見て、「手締め」を行います。中締め・手締めの音頭は施工業者の現場の作業所長が行う事例が多いようです。最後に司会者の「これをもちまして祝宴のお開きと致します」の挨拶ですべて完了致します。


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