☆「地鎮祭」「上棟式」等は何の為に、どのようにして行われるのか、その時慌てなくてすむ為に事前にこれだけ知っていれば充分です☆

〜建築諸祭儀の概要・その3〜

『安けく平らかに常磐堅磐に子孫の・・・・・・』
 
1.「祝詞奏上」(ノリトソウジョウ)のこと
 今回は地鎮祭の「式次第」の順を追って解説していきます。なかでも中心となる「祝詞」(ノリト)は祭祠において、神に対して「神主」が奏上するもので、神聖な座から宣下する詞なのです。「祝詞」には文末がある「宣る」(ノル)で終わる宣下体と、「白す」(マホス)で完結する奏上体の二種類があります。建物の新築で使用される祝詞は「白す」で終わる奏上体が多いようです。
 それでは新築用の「祝詞」を披露してみましょう。
 『此れの所を厳(イツ)の磐境(イハサカ)と斎(イハヒ)定めて招(ヲキ)奉る、掛けまくも畏き産土(ウブスナ)大神を始めて、大地主(オホトコヌシ)大神・埴安姫(ハニヤスヒメ)大神、また屋船(ヤフネ)大神等の御前に恐み恐みも白(マホ)さく。この度、「○○」が新しい家居を「△△」が請負ひ建てむとして、此の所の荒草木根(アラクサキノネ)を刈除き大石小石を拾ひ均(ナラ)して、今日の生日(イクヒ)の足日(タルヒ)にしも地鎮(トコシズメ)祭を慎み敬ひ執行(トリオコナ)はむと、種々(クサグサ)物を献り御祭仕奉(ツカヘ)る事を平らけく安らけく聞食(キコシメ)して、今ゆ行先此の事に関係(アヅカ)れる工匠人(タクミビト)等に手の躓(マガ)ひ足の躓(マガ)ひ有らしめず、工業(タクミワザ)は飛騨人の打つ墨縄(スミナハ)の速けく事成(コトナ)さしめ給ひて、建上(タテア)げむ真柱直く正しく取葺(トリフ)かむ甍の高く美はしく、踏馴らす土平らかに築上げし磐盤(イハクラ)の弥(イヤ)固らかに、雨風の災害(ワザハヒ)は更なり地震岩壊(ナイイハクエ)の損害(ソコナヒ)無く、弥遠永(トホナガ)に些(イササ)かの異(ケ)しき事危き事も有らしめ給はず、安(ヤスラ)けく平(タヒ)らかに常磐堅磐(トキハカキハ)に子孫(ウミノコ)の八十続(ヤソツヅ)きと共に立栄えしめ給へと、恐み恐みも称辞申鎮納(タダヘゴトマヲシシズメヲサ)め畢(ヲ)へ奉らくと白す』

2.地鎮祭の式次第とその進行
 地鎮祭は本義的には、その土地の神に対して、人間がその上に建築物を建てる「非礼」を詫び、神の怒りを鎮める儀式です。産土神や大地主神を祠ることが多く、工事の安全と成功を祈願し、同時に竣工後、その建物に災いが起きないように、神の加護を願う儀式でもあるわけです。今回と次回の2回に分けて解説していきます。
(1)手水の儀
 「手水」の道具は式場の入り口に設営され、「手水役」は二人一組となり、一人が水をかけ、もう一人が半紙を手渡します。使用済みの半紙は捨桶に捨てます。受桶には笹、白砂等を敷き、水がはられています。地鎮祭の定刻が迫ってきたら、進行係から建築主・来賓・設計関係者・施工業者の順序で手水を勧められます。これが「手水の儀」です。併せて進行係より、「ご参列の方は、所定の席にお着きください」との誘導を受けます。
(2)一同着席
 参列者が全員着席したところで、司会者より「ただ今より、○○新築工事の地鎮祭を執り行います」との閉会の宣言が行われます。
(3)修祓(シュウバツ)
 神職が神籬(ヒモロギ)、神饌、祭具、玉串および参列者等を祓い清める儀式を「修祓」といいます。斎主(神職)が神前に向かって二拝し、祓詞(ハライコトバ)をいい(本建築諸祭儀の概要その1参照)、大麻(オオヌサ)で神籬、神饌、祭具、玉串、参列者の順序でお祓いします。司会者からは、斎主が祭壇に向かい二拝する頃合いを捉えて、「ご起立願います」との声がかかります。斎主が祓詞を述べている間、参列者一同は祭壇に向かい頭を下げ、敬意を表します。祓詞が終る頃、司会者より「ご着席願います」との声がかかり、一同着席します。
(4)降神の儀
 「降神の儀」は神を神籬にお招きする招霊の儀式です。斎主は神籬の前に進み、二拝のあと、勿(シャク)を構え「揖」(ユウ)(15度〜45度程度の礼)から「拝」(ハイ)(90度の礼)に移る間に「ご起立願います」との声が司会者より発せられます。斎主は「降神」の詞を述べ、続いて「オー・・・・・・」という警蹕(ケイヒツ)(前号参照)が発せられ、斎主が三歩下がって二拝に移った段階で、「ご着席願います」の指示が司会者より発せられます。つまり、「神様がいま降りてこられますよ」と斎主が「オー・・・・・・!」と警蹕の声を発して、参列者に注意しているわけです。
(5)献饌
 「献饌」は、神に神饌品(供物)を供える儀式です。近時は献饌も略式となり、開会前にあらかじめ神饌案(台)に神饌品を供えてありますので、神職が神酒の徳利の蓋をとる儀式になっているのが実情です。
(6)祝詞奏上(ノリトソウジョウ)
 斎主が「祝詞」を神様に奏上する儀式です。斎主が神前に進み二拝し、「祝詞文」を取り出し、開き始める頃、「ご起立願います」と声がかかります。斎主が祝詞を奏上している間は一同頭を下げ敬意を表します。
(7)四方祓
 この儀式は、建築敷地を祓い清め、地鎮祭の無事完了を祈願するとともに、これから始まる建築工事の関係者に「禍」がおよばないようにするための儀式です。斎主は神前に進み、「切麻」をとり、敷地の四方(東北・東南・西南・西北)および中央に切麻を撒いて祓い清めます。

(以下次号に続く。)

式次第


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