房総半島南部では、鴨川から保田にかけて2,000カ所を越える単位地すべり地形が分布する。「地すべり」とは地形形成作用の一つで、斜面構成層の一部がまとまって、重力の作用により、斜面下方へ移動する現象で、その主体がすべりの様式をとるものをさす。また地すべりによって過去あるいは最近に生じた、または生じつつあり、現在その痕跡が認められる地形を地すべり地形という。地すべりは現象であり、地すべり地形はその結果をさす用語である。 

 地すべり地形が特に密に分布するのは、嶺岡山地の南北両斜面・愛宕山北部・平久里中・富山の北部から伊予が岳にかけての丘陵斜面などである。地質的には、嶺岡山地や平久里中などの蛇紋岩の分布域に多く、嶺岡層群の縁辺部・保田層群・佐久間層群にも比較的多く分布する。ただし、嶺岡山地などのように地すべり地形が密集する地域でも、嶺岡浅間の北斜面の玄武岩分布域などごく狭い範囲で、主に地質条件に対応して、地すべり地形が跡になる部部分がある。

 地すべり地形が密集する嶺岡山地は、周辺の丘陵に比べ、谷が浅く、山頂付近まで10〜15度の緩斜面が連続する。また山腹に平坦面や急崖・凹地・亀裂などの微地形が分布し、複雑な斜面地形となっている。山頂にも平坦面が分布する。これらの地形特性は、嶺岡山地を構成する地層の浸食形態や、嶺岡山地に発生する反復性のある地滑りによって形成された微地形を反映したものである。


(参考文献「千葉県の自然誌」財団法人千葉県史料研究財団編)